3DCGクリエイターとして就職・転職活動をする上で、 合否を9割決めるのがポートフォリオ と言っても過言ではありません。どれだけ志望動機が熱くても、ポートフォリオの中身が伴わなければ書類選考で落とされます。
とはいえ、いざ作ろうとすると「何作品入れればいいの?」「自己PRって何書くの?」「採用担当者は本当はどこを見てるの?」と悩むポイントだらけ。ネット検索しても、転職エージェント発の記事や専門学校発の記事ばかりで、 「現場の採用担当者が実際にどこを見ているか」 がいまひとつ見えてこないと感じる方も多いのではないでしょうか。
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そもそも採用担当者は「ポートフォリオの何を」見ているのか?

具体的な5つのポイントに入る前に、 採用担当者の視聴行動 を理解しておきましょう。これを知っているかどうかで、ポートフォリオ作成の方向性が180度変わります!
採用担当者がポートフォリオを見る時間は意外と短い
大手ゲーム会社の採用シーズンには、 1人の採用担当者が数百〜千件超のポートフォリオに目を通します。つまり、1作品あたりにかけられる時間は、実は 数秒から長くて1分 程度。最初の数ページ(=表紙〜トップ3作品)で「お、これは続きを見たい」と思わせられなければ、後半の力作は読まれずに終わります。
これは厳しい事実ですが、逆に言えば 「冒頭の見せ方」を徹底するだけで他応募者と大きく差をつけられる ということでもあります。
評価される人と落とされる人の決定的な違い
採用担当者目線で言えば、評価される人と落とされる人の違いは 「自分本位か、相手本位か」 の一点に集約されます。
- 落とされる人:「自分の好きな作品を、好きなように見せている」
- 評価される人:「採用担当者が見たい情報を、見たい順序で提示している」
このマインドセットが入っているかどうかが、ポートフォリオの完成度を決めます。以下で解説する5つのポイントは、すべてこの「相手目線」を具体化したものです。
【最重要】採用担当者が見る5つのポイント





ここからが本記事の核心です!現役の採用関係者・現場マネージャーの目線でまとめた、 3DCGポートフォリオで実際に見られている5つの評価ポイント を解説していきます!
① モデリング・トポロジーの基礎力(=デザイナーの土台)
採用担当者が一番最初に確認するのが、 モデリングの基礎力 です。具体的には:
- トポロジー(辺の流れ方)が綺麗か
- 適切なポリゴン数で形を成立させているか
- UV展開が破綻していないか
- 正面・側面・俯瞰など各方向から見て破綻がないか
これらは 完成画像だけ見ても分かりません。だからこそ、ワイヤーフレーム表示、UV展開図、トポロジー図を 必ず併載 してください。これがあるかないかで、書類選考の通過率は大きく変わります。
そもそもモデリングの基礎力にまだ自信がない方は、3DCG初心者ガイド|未経験者が最初にやるべき4つのステップを先に読んでおくと、ポートフォリオに載せる作品作りの土台ができます。


② 制作プロセスと工程理解(=現場で動ける人か)
2つ目のポイントは、 制作プロセスを言語化・図解できているか。完成画像だけでなく、ラフ → モデリング → UV → テクスチャ → ライティングと、 各工程のスクリーンショット を載せると効果的です。
採用担当者がここで見ているのは、「現場で動ける人か」という1点。 3DCG制作のパイプライン(工程の流れ)を理解している ことが伝われば、入社後の戦力としてイメージしやすくなります。
③ 使用ソフト・専門領域の明確さ(=どこで活躍できるか)
3つ目は、 各作品にどんなソフトを使ったか、どの領域が得意か が明示されていること。3DCGには Maya / Blender / 3ds Max / ZBrush / Substance Painter / Unity / Unreal Engine など多くのツールがあり、 どれを使えるかで配属できる部署が変わります。
採用担当者は「この応募者は、自社のどのプロジェクトに入れられるか」を即座に判断したいので、ソフト名と専門領域(キャラ / 背景 / プロップ / アニメーション など)は 各作品ページの最上部に書く のが鉄則です。
MayaとBlenderのどちらを学ぶべきか迷っている方は、現役クリエイターが徹底比較!MAYA vs Blenderで詳しく解説しています


④ 「自社の作風に合うか」を判断できる構成
4つ目は地味ですが、決定的に重要なポイント。 応募先企業の作風と作品の方向性が合っているか ─ これを判断できる構成になっているかを見られています。
たとえばフロム・ソフトウェアに応募するなら「ダークでリアル系のアセット」、サイゲームスに応募するなら「カラフルで親しみやすいキャラ」というように、 応募先ごとにポートフォリオを微調整する 必要があります。すべての企業に同じポートフォリオを送るのは、非効率かつ採用担当者の心も動きません。
Blender独学者がゲーム会社を目指す具体的なルート別戦略は、Blender独学からゲーム会社へ|就職ロードマップとポートフォリオ戦略で詳しく解説しています。


⑤ 情報の見やすさと伝える力(=コミュニケーション能力)
5つ目は、ポートフォリオ全体の 「見やすさ」と「伝える力」。これは表面的な装飾の話ではなく、 情報設計能力 の話です。
- 各ページのレイアウトが整っている
- 使用ソフト・制作時間・担当領域などの基本情報が一目で分かる
- 作品の意図やこだわりが短く的確に説明されている
- 文字量が多すぎず、視覚的に読みやすい
3DCGの現場ではプランナー・エンジニア・他デザイナーと密に連携するため、 「自分の意図を相手に伝えられる人か」 は重要な判断材料。ポートフォリオはその試金石でもあります。
3DCGポートフォリオの基本構成と必須要素





5つのポイントを踏まえた上で、 採用担当者に響くポートフォリオの基本構成 を整理します。順番も意味があるので、できればこの並びで構成してください。
表紙・目次
表紙は 「あなたの代表作1枚」+「氏名・職種・連絡先」 のシンプル構成が王道。派手な装飾は不要で、 あなたが何屋なのかが3秒で伝わる ことを最優先に。目次は10作品以上ある場合のみ用意すれば OK。
自己紹介・プロフィール
1ページ程度で、 氏名・学歴・使用ソフト一覧・連絡先・SNS/ポートフォリオサイトURL を簡潔にまとめます。長々と自分史を書かないこと。重要なのは 「この人はこういうスキルセットを持っている」 がパッと見て分かることです。
作品集(メインコンテンツ)
ポートフォリオの主役部分。10〜20点の作品を、 得意分野順 → ジャンル別グルーピング で並べていきます。各作品ページの作り方は後述します。
自己PR・志望動機
最後の1〜2ページに、 強み・こだわり・志望動機 をまとめます。ここも長文NGで、簡潔に。「なぜCGクリエイターを目指したのか」「将来どんな仕事をしたいのか」を100〜200字程度で書ければ十分です。
作品数と内容バランスの最適解
「何作品入れればいいの?」は、悩むポイントの代表格です。データと現役視点で結論をお伝えします。
作品数は10〜20点が黄金比
シリコンスタジオエージェントの調査では、 3DCGポートフォリオの適正点数は10〜20点 とされています。少なすぎると情報不足、多すぎると採用担当者の負担が大きくなり「読まれない」リスクが上がります。
新卒で実績が少ない場合は10点前後、転職で職歴がある場合は15〜20点が目安です。
ジャンル分けで「自分の方向性」を見せる
作品を雑多に並べるより、 「キャラクター5点」「背景5点」「プロップ5点」 のように ジャンル分け をしましょう。これにより、採用担当者は 「この人は何屋なのか」 を瞬時に把握できます。
逆に「キャラ1点・背景1点・武器1点・エフェクト1点…」のようにバラバラだと、「方向性が定まっていない人」という印象を与えてしまいます。
直近作品から逆順に並べる理由
作品は 直近(=最新作)から逆順 に並べるのが基本。クリエイターのスキルは時間とともに伸びるため、最新作が一番うまいはず。 「冒頭ほど力作」 という採用担当者の心理にも合致します。
各作品ページに必ず明記すべき4つの情報
作品ごとに掲載する情報は、 4つの必須要素 に絞ると伝わりやすくなります。これはマイナビクリエイターの解説でも繰り返し強調されているポイントです。
① 使用ソフト
例:「Maya / Substance Painter / Unreal Engine 5」
使用したソフトを全て列挙。 「メインソフトはこれ、サブでこれを使用」 という書き方もOK。Maya とのバージョン違いを区別したい時は「Maya 2024」のように年度を入れます。
② リアルタイム or プリレンダ
例:「Real-time (Unreal Engine 5 / 三角形ポリゴン:18,000)」
これは超重要です。 ゲーム系職種ならリアルタイム、映像系職種ならプリレンダ が求められるため、自分の作品がどちらかを明示することで、応募先とのマッチング精度が上がります。
③ 担当領域(個人制作 / 共同制作)
例:「個人制作(全工程)」または「共同制作(モデリング・テクスチャを担当)」
共同制作の場合、 自分がどこを担当したかを必ず明記 してください。担当範囲が不明だと「実力が判断できない」と切られます。
④ 制作時間
例:「制作時間:約40時間(20245年8月)」
現場では納期が必ずあるため、 制作スピード感 は重要な判断材料。隠さず正直に書きましょう。短時間で作れるほど評価される、というわけではなく、「このクオリティをこの時間で出せる」というデータが見たいだけです。
【テンプレ】そのまま使える作品ページ構成


各作品ページは、次の構成テンプレートをコピペで使ってください。
【作品タイトル】(任意)
使用ソフト:Maya 2024 / Substance Painter / Marmoset Toolbag
形式:リアルタイム(三角形ポリゴン:約15,000)
担当領域:個人制作(モデリング・テクスチャ・ライティング)
制作時間:約30時間(2025年7月)
コンセプト:中世ファンタジー風の武器。剣身の傷と柄の革質感にこだわり…
[完成画像 / ワイヤーフレーム / UV展開図 / テクスチャマップ]
「使用ソフトを書く」と言われても、自分が使っているソフトの正式名称やバージョン違いに自信がない方は、MAYA vs Blender 比較記事でツールの整理を確認しておきましょう。


採用担当者がガッカリするNGポートフォリオ例





逆に、採用担当者が 「これはちょっと…」 と感じる典型的なNGパターンを5つ挙げます。自分のポートフォリオに当てはまっていないか、チェックしてみてください!
完成画像のみで制作プロセスが見えない
もっとも多いNG。 完成画像だけ並べて満足 しているパターンです。ワイヤー・UV・トポロジーがないと、業界人が判断したい中身が見えないので評価のしようがありません。
詰め込みすぎでサムネが汚い
1ページに作品を5つも6つも詰め込んで、サムネが豆粒のように小さい状態。 1作品=1〜2ページ を基本に、余白を大事にしてください。
全部キャラ / 全部背景で「方向性」は見えるが「幅」がない
意外と落とし穴。専門性は大事ですが、 1ジャンル一辺倒だと「他のことができない人」 と判断されることも。メインジャンル7割、サブジャンル3割くらいがバランス◎。
使用ソフトが書いていない
ありがちですが致命的。 採用担当者は作品の出来栄えと同じくらい「何で作ったか」を見ています。書き忘れは即マイナス評価です。
自己満足の「やりたいだけ」作品ばかり
「自分の好きなアニメキャラを作りました」だけが並ぶポートフォリオは、 「業界仕事ができる人」 として評価されにくい。応募先の作風に寄せたサンプル作品を 1〜2点入れる だけで印象が劇的に変わります。
提出形式とファイルの今のスタンダード(2024-2025年)
コロナ禍以降、ポートフォリオの提出方法は大きく変わりました。 現在のスタンダード を押さえておきましょう。
紙提出はほぼ消滅、PDF提出が主流
2025-2026年時点では、 PDF形式でメール添付 or データダウンロードリンク共有 が圧倒的多数派。紙やDVD-Rでの提出は、求人票に明記されている場合のみ対応すればOKです。
ポートフォリオサイト(Vivivit等)併用が推奨
PDFに加えて、 Vivivitや 自作ポートフォリオサイトのURL を併載するのが今のベストプラクティス。 PDFは固定情報、サイトは動画やインタラクティブな作品も載せられる ので、両方使うことで採用担当者により多角的にアピールできます。
ファイル名・容量・解像度の最適解
- ファイル名:「氏名_職種_2026.pdf」など、内容が分かる名前に
- 容量:メール添付なら10MB以下が安全。10MB超ならクラウドリンク(Google Drive等)で共有
- 解像度:WebではフルHD(1920×1080)相当を1ページ目安に。画像はJPG圧縮で品質を保ちつつ軽量化
ポートフォリオ完成前の最終チェックリスト
ポートフォリオが完成したら、応募の前に必ず以下を確認してください。 「あと一手間」 が合否を分けます。
第三者に必ず見てもらう
自分一人で完成と思っても、 第三者の目線で見ると違和感がある箇所 は必ずあります。可能なら現役クリエイター、難しければ家族・友人でも構わないので、必ず一度誰かに見てもらいましょう。 SNS や転職エージェントの添削サービスも積極的に活用を。
スマホ画面でも読めるか確認
採用担当者は移動中にスマホで一次チェックすることもあります。 スマホ画面でも文字や画像が読めるか を必ず確認してください。文字が小さすぎる、画像内テキストが潰れているなどは、書類選考の段階でマイナス印象になります。
応募先ごとに最適化する
面倒ですが、 応募先企業の作風に合わせて1〜2作品を入れ替える 一手間が決定的に効きます。フロム・ソフトウェア向け、サイゲームス向け、サクセス向け…と何種類か用意しておくと、書類通過率が劇的に上がります。
まとめ:採用担当者目線で「読まれる」ポートフォリオを作ろう
本記事のポイントを整理します。
- 採用担当者は 1作品あたり数秒〜1分 しか見ない。冒頭の見せ方で勝負が決まる。
- 採用担当者が見ている5つのポイントは ① モデリング基礎力 ② 制作プロセス ③ 使用ソフト・専門領域 ④ 自社作風との合致度 ⑤ 情報の見やすさ 。
- 作品数は 10〜20点 、 ジャンル分け で方向性を見せる、 直近作品から逆順 に並べるのが基本。
- 各作品ページには 使用ソフト・形式・担当領域・制作時間 の4要素を必ず明記。
- 2024-2025年の提出形式は PDFメール添付+ポートフォリオサイト併用 が主流。
- NGパターン(完成画像のみ、詰め込みすぎ、ソフト未記載、自己満足作品)は事前に潰しておく。
- 完成後は 第三者チェック・スマホ確認・応募先ごとの最適化 の3点で詰める。
ポートフォリオは「自分の作品集」ではなく、 「採用担当者へのプレゼン資料」 です。マインドセットを「自分本位」から「相手本位」に切り替えるだけで、完成度は劇的に変わります。
これからポートフォリオを作る方は、ぜひこの5つのポイントを意識しながら、 業界の第一歩を踏み出す武器 を作り上げてください。あなたの作品が、自分の夢を叶えるパスポートになることを、現役の業界人として心から応援しています。
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